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ウマイヤ朝に続くイスラム帝国の第3次カリフ制 (世襲制) の王朝。37代存続。
北アフリカから中央アジアまでを支配した強大なイスラム王朝で、前王朝のアラブ至上主義は影を潜め、異民族の改宗者が渾然と融合した「イスラム帝国」が実現。
政治的な頂点は中央集権的支配が行われた8世紀後半〜9世紀初めで、その後各地に地方政権が分立してカリフの権力は急速に衰えるが、経済・文化が最も発達したのは9〜11世紀の頃だった。
〔時代〕 750〜1258。8世紀後半〜9世紀初めが黄金時代
〔地域〕 北アフリカ〜中央アジア (のちにはイラクのみに縮小)
〔首都〕 バグダード
〔特色〕 諸民族が融合したイスラム帝国
〔名君〕 ハールーン・アル=ラシード
〔経済〕
〔文化〕 東西文化を融合、古代ギリシア、ヘレニズム、ペルシア、インドの文化などを復興させ、花開く。
〔宗教〕 イスラム教を制度的・文化的に完成させ、世界的地位にまで高めた。
- 750
- マホメットの叔父アッバースの血を引くアッバース家のサッファーフがザブ河畔の会戦にウマイヤ朝を倒し、クーファの大礼拝堂でカリフになって王朝を開く。
- 751 タラス河畔の戦い
- 唐の軍隊と戦う。中国人捕虜から紙の製法がアラブ世界に伝わる。
- 754−775 第2代 マンスール
- ササン朝の首都クテシフォンに近いバグダードに新首都を建設。イラン系の人々が政治・文化で主要な地位を占めることとなる。
- 762
- バグダードを首都とする。
- 786−809 第5代 ハールーン・アル=ラシード
- アッバース朝の黄金時代を築いたが、同時にイスラム帝国の分裂の兆しも現れた。
はじめバルマク家 (歴代カリフのワジール (宰相) をつとめたバルフ出身のイラン系名家) のヤフヤーを宰相としたが、803年から親政。2子ファドル及びジャーファルを重用。
しばしば小アジアに遠征し、インドのグルジャラ諸国の王やフランクのカール大帝と使節や贈り物を交換した。
宮廷儀礼は一層荘厳化され、ササン朝など西アジアの古代専制君主国家の再現のような有様となった。多くの詩人、楽師を保護した。
一方では地方領主の土着化が始まり、しばしば反乱が起こった。中央アジアではラーフィイが反旗を翻した。
- 788
- モロッコにシーア派の≪イドリース朝≫が成立、アッバース朝と争う。
- 791
- ビザンツ帝国を破る。
- 800
- チュニス方面に≪アグラブ朝≫独立。
- 803
- ハールーンの親政開始。
- 813−833 第7代 マームーン
- 引き続き黄金時代。
バグダードはアラブ、イラン両民族の学芸の中心となり、いわゆるイスラム文化はこの頃開花した。
しかし政治的には9世紀半ばには早くも衰微し始める。
- 820
- イラン系部将ターヒルはメルヴを本拠として≪ターヒル朝≫を独立させ、ホラーサーンを支配。
- 833−842 第8代 ムータシム
- 中央アジア出身のトルコ族親衛隊を作るが、その統御が出来なくなり……
- 836〜892
- ティグリス川をさかのぼったサーマッラーに都を移さざるを得ず(サーマッラー遷都時代 836−892)。
- 847−861 第10代 ムタワッキル
- 861
- トルコ傭兵に暗殺される。
- これ以降、カリフの権力の空洞化が進み、地方政権が次々に独立。
また国家の急速な発展に伴う経済上の不均衡から大反乱が続出。
- 9世紀後半
- シーア派の「イスマーイール派」がインド、中央アジア、北アフリカに勢力を持つように。
- 867
- イランに≪サッファール朝≫独立。
- 868
- エジプトにトルコ系の≪トゥールーン朝≫独立。
- 870〜883
- バスラ地方でザンジ (黒人奴隷) の大反乱
- 872
- サッファール朝がターヒル朝を倒す。
- 874
- イランに≪サーマーン朝≫独立。
- 892
- 都をバグダードへ戻す。
- 901〜906
- シーア派イスマーイール派から分離した「カルマット派」の反乱。イラク南部に一時政権を樹立し、アッバース朝を脅かす。
またその一派はアラビア東部に一種の共和国を建設……
- 909
- アルジェリアにシーア派イスマーイール派の≪ファーティマ朝≫独立。
- 922
- 「スーフィー派」のハッラージュが磔になる。
- 930
- カルマット派、メッカを攻略、さらにバグダードをも脅かした。
カルマット派は11世紀いっぱいは存続。
- 932
- シーア派の≪ブワイフ朝≫独立。
- これ以降、帝国分裂・地方分権化が急速に進む。
- モロッコ方面……イドリース朝
- チュニス方面……アグラブ朝
- ホラーサーン方面……ターヒル朝
- イラン方面……サッファール朝、サーマーン朝
さらに≪トゥールーン朝≫、≪イフシード朝≫などトルコ族の独立が相次ぎ、カリフの権力は次第に落ちぶれ、辛うじて宗教的権威を保つのみとなる。
- 946
- シーア派の≪ブワイフ朝≫がバグダードに攻め入り、政治の実権を奪う。
カリフは権力闘争の道具に成り下がる。
- 973
- ファーティマ朝(909-1171)は、969年エジプトを征服、この年にはカイロに遷都し、シリアやアラビアに支配を広げた。
- この頃、イラン系の医学者・哲学者イブン・シーナー (c.980〜1037) 活躍。
- 1055
- スンニー派≪セルジューク朝≫のトゥグリル・ベク、アッバース朝カリフの招きに応じてバグダードに入城し、シーア派≪ブワイフ朝≫を滅ぼす。実権はセルジューク朝の手に移る。
- 1058
- アッバース朝カリフはトゥグリル・ベクにカリフ保護者としての「スルタン」の称号を授ける。
- この頃、ペルシア詩人オマル・ハイヤーム (c.1040〜1123) 活躍。
- 12〜13世紀
- ヨーロッパの十字軍遠征が中東のイスラム諸国に打撃を与える。
- 13世紀前半
- モンゴルによる中央アジア〜中近東のイスラム諸国征服。
- 1258
- 名目だけのアッバース朝最後のカリフ、ムスターシムは、フラグ率いるモンゴル軍に虐殺され、カリフ制も絶える。
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