ミサ
missa [羅/伊] / messe [仏] / Messe [独] / mass [英]
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 「ミサ聖祭」とも。
 キリスト教の典礼に於ける中心的な礼拝儀礼。
 または、その中で用いられる典礼文に作曲された宗教声楽曲のこと。

 「ミサ(ミサ聖祭)」は、キリスト教に於ける神への公的な礼拝儀式である。

 ローマ時代のキリスト教の礼拝は、最初ユダヤ教と区別がなく、ユダヤ教の安息日である土曜日に行われ、パンを裂き食事を共にするユダヤ教の習慣を受け継いでいた(「愛餐(アガペー)」)。
 しかし礼拝が「主の日 (主日)」としての日曜日に行われるようになると、「愛餐」は、パンを裂き葡萄酒を分けることでキリストの最後の晩餐を記念する一つの儀式となった(「聖餐(エウカリスティア)」)。
 完成されたミサの儀式では、キリストの肉体を象徴するパンと、キリストの血を象徴する葡萄酒を神に捧げる。そして聖別されたパンはもはや普通のパンではなく、キリストの肉へと聖変化を遂げた「聖体 (ホスティア)」として信者に配られる。

 原始キリスト教では、「聖餐」の前に、未入信者を含む一般大衆を相手した「シュナクシス」と呼ばれる儀式が行われた。「シュナクシス」から「聖餐」に移る時、キリスト教徒でない者は「ミッサ(退場)!」という呼び声で退席させられたので、「聖餐式」は「ミサ」と呼ばれるようになった。これがミサの起源である。
 ローマ時代末期にはシュナクシスと聖餐式は接続されて一つの儀式となり、「ミサ」が誕生した。

 ミサの祭式は、執り行われる祝祭日によって異り、歌われる聖歌も異なる。このように特定の祝日のために固有に作られた典礼文を「固有文(変化文)(プロプリウム)」と言い、反対にどのミサでも共通して用いられる典礼文を「通常文 (オルディナリウム)」と言う。

 以下に簡単にミサの式次第を示しておこう。
 (第2ヴァティカン宗教会議以前のもの。[通]は通常文、それ以外は固有文。歌われる所は青字

  1. イントロイトゥス(入祭唱)
  2. キリエ(憐れみの賛歌)「主よ、憐れみ給え」 [通]
  3. グローリア(栄光の賛歌)「天のいと高きところにおわす神に栄光あれ」 [通]
  4. オラツィオまたはコレクタ(集祷文)
  5. エピストラ(使徒書簡朗読)
  6. グラドゥアーレ(昇階唱)
  7. アレルヤ(アレルヤ唱)[またはトラクトゥス(詠唱)]/セクエンツィア(続唱)
  8. エヴァンジェリウム(福音書朗読)
  9. クレード(信仰宣言)「われ唯一の神を信ず」 [通]
  10. オッフェルトリウム(奉献唱[正しくは奉納唱])
  11. セクレタ(密誦)
  12. プレファツィオ(序誦)
  13. サンクトゥス(感謝の賛歌)「聖なるかな」 [通]
  14. カノン(・ミッセ)(ミサ典文) [通]
  15. パーテル・ノステル(主祷文)「我らが父よ」 [通]
  16. アニュス・デイ(平和の賛歌)「神の子羊」 [通]
  17. コンムニオ(聖体拝領唱)
  18. ポストコンムニオ(聖体拝領後の祈り)
  19. イテ・ミサ・エスト(終祭唱)[またはベネディカムス・ドミノ「主を祝福せよ」][通]
 1.〜11.は古代の「シュナクシス」、12.〜19.は「聖餐式」に当たる。
 現在のミサはこれら2儀式の接続なので、12.「プレファツィオ(序誦)」が中程に出て来る順番になっている。
 また、中世ヨーロッパ人はほぼ皆キリスト教徒なので、かつて未入信者を退場させた「ミッサ」の声は、全員退場の19.「イテ・ミサ・エスト(終祭唱)」へ移された。

 ミサ曲は以上の式次第のうち、

  1. キリエ(憐れみの賛歌)「主よ、憐れみ給え」 [通]
  2. グローリア(栄光の賛歌)「天のいと高きところにおわす神に栄光あれ」 [通]
  3. クレード(信仰宣言)「われ唯一の神を信ず」 [通]
  4. サンクトゥス(感謝の賛歌)「聖なるかな」 [通]
  5. アニュス・デイ(平和の賛歌)「神の子羊」 [通]
の5つの通常文をセットとして作曲する場合が多い (通作ミサ)。
 また、固有文のうち、「イントロイトゥス (入祭唱)」、「グラドゥアーレ (昇階唱)」、「アレルヤ唱」、「オッフェルトリウム (奉納唱)」、「コンムニオ (聖体拝領唱)」などに作曲されることもある。ルネサンス時代初期までは、「アレルヤ唱」の代わりに「トラクトゥス (詠唱)」が用いられることがあり、さらに「セクエンツィア (続唱)」が加えられることもあった。
 固有文に一貫して作曲することはほとんどないが、そのまれな例外の一つに、「死者のためのミサ曲 (Missa pro defunctis)」がある。
 そこではイントロイトゥスが「レクイエム・エテルナム・ドナ・エイス・ドミネ(主よ、永遠の安息を彼らに与え給え)」と歌い始めるので、「レクイエム (requiem)」とも呼ばれる。
 またセクエンツィアとして「ディエス・イレ (怒りの日)」を加え、グローリアとクレドは用いない。
 レクイエムの構成は大体次のようである。

  1. イントロイトゥス(入祭唱)「レクイエム・エテルナム (主よ、永遠の安息を与え給え)」
  2. キリエ(憐れみの賛歌)「主よ、憐れみ給え」 [通]
  3. グラドゥアーレ(昇階唱)
  4. セクエンツィア(続唱)「ディエス・イレ (怒りの日)」
  5. オッフェルトリウム (奉納唱)「ドミネ・イエズ・クリステ (主イエス・キリスト、栄光の王)」
  6. サンクトゥス(感謝の賛歌)「聖なるかな」 [通]
  7. アニュス・デイ(平和の賛歌)「神の子羊」 [通]
  8. コンムニオ(聖体拝領唱)「ルクス・エテルナ (永遠の光)」

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©2002 早崎隆志 All rights reserved.
更新日:2002/04/06

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