三位一体
Trinitas [羅] / Trinity [英] / さんみいったい [日]
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 キリスト教の根本教理の一つ。
 父なる神、子なるイエス・キリスト、聖霊の三者は、等質で不可分とする説。

 「三位一体 (トリニタス)」は、ローマ・カトリック教会の中心的教義である。

  1. 父なる神
  2. 子なる神イエス・キリスト
  3. 聖霊である神
の三者は、「同質」かつ「不可分」であるとする考えのことで、同質不可分であるからには、キリストも聖霊も、「父なる神」と全く同じ「神性」を持つ。
 これは東方諸教会も採用しており、特にローマ教会独自のものというわけではないが、ローマ教会はことさらにこれを強調する。

 それにしても何やら分かりにくい。
 「三位一体」の「位」 (ペルソナ)とは「人格」を意味するが、相手は神なので人格ではなく「位格」と呼ぶ。
 で、上の三者は、位格 (ペルソナ) は異なっていても、「実体」 (スプスタンツィア Substantia) としては一つだと考えるのである。

 父なる神と、子なる神イエス・キリストの位格 (ペルソナ) はまあいいとして、聖霊というのがちょっと分かりにくい。
 これは何かと言うと、「三位一体」論で言う「聖霊」とは、イエス復活後の五旬節 (聖霊降臨祭) に使徒たちに下された霊のことで、神自身の分身としての人格 (位格) を持つ。そんじょそこらの精霊とは違うので注意。

 「3つで1つ」という呪文のような教理は、「3は完全無欠を示す聖なる数字」という神秘的考えを生み、神を表す音楽が3拍子に支配される、といった現象を招いた。


= 三位を巡る教説史 =

2世紀前半
 『新約聖書』の中で「父 (なる神)」「子 (なるキリスト)」「聖霊」が並記される。

3世紀初め
 カルタゴの教父テルトゥリアヌス (155頃〜223頃) が初めて「三位一体 (トリニタス)」という表現を用いる。

4世紀初め  同質性論争
 キリストは神か人かを巡って大論争。
  • アナスタシウス派 (正統派)……神とキリストの完全な同等性を主張。アリウス派異端の発生に対抗し、アレクサンドリア教父アタナシオス (アナスタシウス) らが熱烈に擁護。
  • アリウス派……アレクサンドリアの司祭アリウス (256頃〜336) の説。唯神論に立って、キリストは本質に於いて神と似ているが、やはり被造物であり、「人間」としての特性も持っている、と主張、神との同質性を否定した。

318
 アレクサンドリアの司教アレクサンドロスが召集した会議でアリウス派は異端とされる。
 だがアリウスは、ニコメディアのエウセビオスの支援を得て抗訴。 → 全教会的な論争へと発展。

325  ニケーア宗教会議 (第1回)
 正統派とアリウス派の論争に決着を付けるため、コンスタンティヌス大帝がキリスト教関係者300人を小アジアのニコメディア市南方のニケーア (ニカイア [羅] ) に召集。
 アレクサンドリア教父 (当時助祭) アタナシオスは、カエサレアのエウセビオス (260頃〜339/40) 一派が起草した議定書 (信条) に、
 「父(神)と子(キリスト)は同質(ホモウジオン)である」
の一文を挿入させ、「三位一体」説の基礎を確立。
 この結果アリウスの破門が確定した。

381 コンスタンティノープル宗教会議 (第1回)
 「ニケーア信条」採択。「三位一体」の教義が確定。

4世紀後半〜5世紀前半
 以下の人々により「三位一体」説は神学的に体系付けられる。

  • カッパドキアの3大教父
    • バシレイオス
    • ニュッサの聖グレゴリオス (331頃〜394頃)
    • ナジアンゾスのグレゴリオス (260頃〜339/40)
  • 聖アウグスティヌス (354〜430)

451  カルケドン宗教会議
 東方教会を席巻した「キリスト単性論」 (キリストは神と人が融合した第三の性質を持つ) を判定するために、東ローマ皇帝マルキアヌスがローマ教皇レオ1世の要請に基づき、コンスタンティノープルの対岸に位置する小アジアのカルケドン市で開催。
 この会議で「三位一体」は最終的に正統教理として確定。  単性論は、アリウス派、ネストリウス派と共に追放された。

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©2002 早崎隆志 All rights reserved.
更新日:2002/04/06

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